金沢工業大学
教育DXシンポジウム2022 活動報告

教育DX全体概要

金沢工業大学 教育DX推進委員会
委員長?副学長 教授 鹿田 正昭

先進的な学修支援整備によりPlus-DXダブル採択

ただいまご紹介にあずかりました、教育支援担当の副学長をしております鹿田です。まずは、本校の教育DXについて、取り組みがスタートした背景を含めて全体の概要をご紹介します。

2021年12月に文部科学省が「デジタルを活用した大学?高専教育高度化プラン(Plus-DX)」の公募を開始しました。

図1

この公募には2つの申請枠があります。一つが「取組①:学修者本位の教育の実現」です。学生の理解度を総合的に確認し、学生の学修履歴等から受講すべき科目や履修の支援などを行うものです。

もう一つが「取組②:学びの質の向上」です。実験?実習科目、あるいは通常の座学において、現場と同等の体験をすることで、教科書やビデオ映像を見るよりも効果的な学修を実現するという取り組みです。

実は本学では、この公募が公表される前から、「EduTech(Education Technology)を駆使し、今までとは次元が異なる格段に高い教育効果を生み出す」ことを目標に、2つの取り組みを実践していました。

その一つが、「学生一人ひとりの学びに応じた教育実践」です。これは、学内に学生のビッグデータに相当する非常にたくさんのデータが存在していながら、効果的、有機的につながっていなかった点を改め、新しい学修管理システムを再構築していこうというもので、これがまさに「デジタルを活用した大学?高専教育高度化プラン」の「取組1」に該当する内容でした。

もう一つが、「時間と場所の制約を超えた学びの場の創出」です。コロナ禍で授業が受けられない、なかなか現場で実験ができないなどというときに、場所を超えてあたかも自分が体験しているような状況がつくれるといった、デジタル技術を活用した質の高い教育の提供をめざしており、これが「デジタルを活用した大学?高専教育高度化プラン」の「取組2」に該当していました。

私たちは、文部科学省がPlus-DXを公募する以前からこれに着目した計画で行動していた訳であり、「取組1」と「取組2」のそれぞれに応募しました。結果、幸いなことに両者とも採択されました。私立大学で「取組1?2」ともに選定を受けたのは、本学を含め2校しかありませんでした。

全学をあげて組織的に教育DXに取り組む

こちら(図2)はPlus-DXの全体概要をまとめたものです。

図2

左半分が「取組1」に該当します。学修者本位の教育を実現するために、過去のビッグデータを効率的に抽出しAIを使って分析しようというものです。

右半分が「取組2」です。VR、MR、ARを使って、あたかも実験室にいるような状況で学生たちが遠隔から参加できる、場合によっては時間を超えて、外国の学生とも自由にやり取りができます。アバターを使って東京にいる講師があたかも学生の隣へ来て教えてくれるような状況をつくりだすこともできます。

DX推進に当たっては、組織をつくって全学をあげて取り組まなければ、本当の意味で学生のためになるものはできません。そこで、採択を機に学長指示の下、教育DX推進委員会を立ち上げました。私が委員長をさせていただき、その下に私以外におられる2人の副学長、部長クラスの先生、職員では局長、部課長クラスの方々、20名で推進委員会を立ち上げました。その下に、「取組1」と「取組2」に関する小委員会を設置。一つは「LMS推進小委員会」で山本知仁先生ほか9名に、もう一つが「遠隔授業推進小委員会」では鈴木亮一先生ほか6名に中心メンバーとしての役割を依頼し、各小委員会の下にさらに3つのワーキンググループをそれぞれ立ち上げました。可能な限り各学科から必ず1名はどこかに関与するようお願いし、総勢89名という大所帯の委員会で全体を統括していきました。

委員会の下に主催した関連イベントですが、2021年の11月11日に「デジタルを活用した大学?高専教育高度化プラン」選定の記者発表と教育DXのデモンストレーションなどを行いました。その後、まずは学内の教職員の方に教育DXの取り組みについて知ってもらうため、学内限定のフォーラムを2021年12月に2回開催し、「取組1」と「取組2」をそれぞれ紹介しました。2022年6月には学内限定のKIT XRフェスで、これまでにできあがったいろいろな仕組みについて紹介しました。8月23?24日に開催した私大等PFシンポジウム2022では、高校の先生方等々にもご参加いただきました。12月19日にこの取り組みのホームページを公開し、今日のシンポジウムにつながっているという流れです。

ホームページには我々の教育DX推進に関する取り組みを詳しく掲載しておりますので、ぜひ一度ご覧になってください。

以上、教育DX推進委員会及び本学の教育DX推進について、私からご紹介させていただきました。ありがとうございました。